中井久夫氏と「傲慢」の戒め

 精神科医中井久夫氏の人間観の基本である「余裕(ゆとり)」の概念には、天理教の「たんのう」の教えの影響が感じられるという話は前にしました。さらに、中井氏は主著のひとつ『治療文化論』をはじめ、著作においてしばしば治療者および患者の「傲慢(ヒュブリス)」を戒めますが、この概念の背後には、カトリシズムだけではなく、「よくとこうまん、これ大嫌い」という天理教教祖の言葉があるように思います。