団鬼六と「疑似穴兄弟」

 実は前々から、ボクは自分用のラプドールの購入に関心があった。
 そもそも、この“マイブーム”の先走り汁は、みうらじゅんの本誌連載「人生エロエロ」なのだ。その第8回に、SM小説の大家、在りし日の団鬼六とみうらさんのこんなやりとりがあった。
「君には親友というものがおるんか?」「何人かはいます」「で、その何人かと貸し借りの方はしとるんやろな?」「?」「貸し借りいうたら女に決っとるやないか」
 つまり、「穴兄弟こそ男の親友」という概念を先生から教示されたのだ。
 この話を真に受けたのか、みうら&リリーが一緒にラブドールを購入。そして互いの彼女をプレゼントしあう疑似穴兄弟の妄想へと発展した。
 サブカルの果ては深淵なり(リリー・フランキー「週刊 藝人春秋」『週刊文春』2013年8月8日号、p66)。


*「女ぎらいの女好き」(上野千鶴子)であったのだろう団鬼六の「ホモソーシャルな欲望」(イヴ・K・セジウィック)は露骨ですが、「女」を「ラブドール」に変えてでも実行しようとしているところに、日本的なホモソーシャリティの根強さを感じます。