「聴きだすけ」について

 このような神経を使う活動をしていると、新聞記者の方に、
「心の健康を保つ秘訣は何ですか?」
 とよく質問されます。胃に穴が開くような辛い話を聴くこともあるのに、どうして心の健康を保てるのかと不思議がられます。
 以前、うつに苦しんでいる方の話を電話で二時間ほど聴いたことがあります。その電話から一週間ほど、身体半分がだるくて困りました。
 初めはどうしてこんなにだるいのかわかりませんでしたが、ふと相談電話をかけてきた人のことを思い出しました。するとだるさがすっとなくなりました。うつの方がどんなに大変かということを私は自分の身体に教えられたのです。
 うつが移ったとでもいうのでしょうか。相手の方のしんどさが少しは軽くなったのではないか、少しは役に立ったのではないかと勝手に自己満足しています(西原由記子『自殺する私をどうか止めて』角川書店、2005年、pp.98-99)。


*「聴きだすけ」(天理教)が「代受苦的救済」(渡辺順一)だというのは、宗教者の自己満足なのでしょう。もちろん、自己満足だからダメだと言いたいのではありません。