日本社会の「野暮化」
NHKテレビで大相撲中継を視ていたら、アナウンサーが「横綱の意地」というヘンな表現を使っていました。「横綱」のような「強者」が見せるのは、本来「意地」ではなく「貫禄」のはずです。そもそも、視野狭窄と自己中心性を伴う「意地」は、「非常事態突破の構え」であり、「無冠の弱者にのみ許されるもの」(中井久夫)であるはずです。「強者」は「意地」を「霊化」して「粋」に振る舞うべきとされていたはずです。日本文化の乱れを感じさせる言葉遣いでした。現代の日本社会は、「右傾化」しているというよりも「野暮化」しているように思います。典型的には橋下徹氏や石原慎太郎氏の言動。「従軍慰安婦は当時としては必要だった」なんて、「それを言っちゃあおしまいよ」(フーテンの寅さん)という言葉です。