みんな「障碍者」

 私は、「お前のアニキ(熊田註;ダウン症の患者)、アホだな」と言われても、その「アホ」に愛情さえこもっていれば全く腹は立ちません。むしろ、「そうだ、おれのアニキはアホだ」と答えるでしょう。しかし、「お前のアニキ、障害者だな」と言われると、邪魔者扱いされていると感じてしまいます。
 本来は、「障害者」ではなく「障碍(がい)者」と書くのが正しいと聞かされました。かつては「碍」の字が用いられていましたが、常用漢字にないので、いまは「害」が用いられているそうです。「身体器官に何らかの障りがあって機能を果たさない人々という本来の意味に近づいて、適切ではないかと思います。
 私は背が高いので酔っぱらったときなどに電車で頭を打ったりしますが、これも私にとっては「障碍」なのだと思います。ほかの人々もみんな「障碍者」なのである、これが私の考えです(露の団六「ダウン症のアニキをもって」『みちのとも』2011年4月号、天理教道友社、p63)。


*「健常者/障害者」という近代的な二分法をきれいに脱構築していると思います。