コミュニケーションとしての向精神薬投与

 しばしばけばけばしく着色された、未知の化学物質を含む薬剤を嚥下という呼びもどしのきかない形で受け容れることは、患者の医師に対する途方もない信頼ではないだろうか。薬物の授受はすでにコミュニカティヴな行為であり、それは相互的な行為(患者の返すものは信頼であるー屈従であってはならないと思う)であることは、あまり注目されてこなかった(中井久夫「奇妙な静けさとざわめきとひしめき」」『統合失調症1(精神医学重要文献シリーズ)』みすず書房、2010年;p.144)。


抗うつ薬SSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬)始めとする各種の向精神薬の投与を、社会学(ex.エスノメソドロジー)の観点から分析してみる必要があるでしょう。