敗戦とDV

 カウンセラーの信田さよ子さんが、アダルトチルドレンの女性が生育歴を語る際に特に印象的だったのは、「五十代以上の女性たちが生育歴で語った、第二次世界大戦から復員した父が、家族のなかでどれほど苛烈な暴力をふるったか、という事実だった。」としています(信田さよ子「加害者は変われるかーDVと虐待をみつめながら」筑摩書房、2008年、p.95)。
 信田さよ子さんは、「男性が愛する妻子に暴力をふるったり虐待をはたらいたりするのは謎である」と言っておられますが(イラ姫信田さよ子「マンガ 子ども虐待出口あり」講談社、2001年)、覇権的男性性(「男の中の男」のイメージ)に伴う「名誉/恥」の感覚を考慮すると、DVや児童虐待が理解可能になるような気がします。