自傷系サイトの危険性

 この前、ある精神科医の方にネット自殺関連のことで話を聞いた。その中で興味深かったのは、自殺系サイトや自傷系サイトの中で集団ができると余計なライバリティ(自分の方がもっと辛い、もっと病んでいる、というような)が生まれてしまい、その中で負のエネルギーが発生し、自分の死にたい気持ちと誰かの死にたい気持ちとそれを見ている人たちの誰かの死を望む気持ちがごちゃ混ぜになり、その集団の物語のため、その集団の緊張感を維持するため、その集団の崩壊を防ぐため、実際にスケープゴートという形で死者を出すことさえある、ということだった。それを聞いて背筋がゾッとした。そんなネット上のネガティブスパイラルともいうような負の感情の連鎖で、何度か見たり聞いたりしたことがあるからだ。本当の自分がネットの自分によって殺される。ネットの世界が現実を浸食していく。「痛い自分」を外に向けて不特定多数の人間に演出した瞬間から、その人は無意識に「観客」の要求に応えようとしてしまう(雨宮処凛「戦場へ行こう!!」講談社、2004年、p129)

雨宮さんの小説「EXIT」(2003年)は、いくぶんかは彼女の実体験に基づいたものなのでしょう