依存症の自助グループにおける人間関係
(前略)また、死生観やセルフヘルプに関わるスピリチュアリティは、いずれも限られた範囲の危機や苦難と立ち向かうためのものであり、広く、あらゆる立場の人々に語りかけようとするものではない。斎藤学の「問題縁」という語は示唆的である。問題を分け持つ限りでの共同性であって、全人生、全生活領域にわたる共同性ではないと受けとめられている(島薗進『スピリチュアリティの興隆』岩波書店、2007年、p297)。
*この分析には、留保が必要だと思います。断酒会やAAのような依存症から回復するための自助グループが、多人数で集まるだけで、個人的な付き合いをしないのは、決して人間関係が希薄になっているからではありません。ただ単に、依存症患者同士で個人的な付き合いをすると、「一杯だけ飲むか」と、スリップ(再飲酒)する危険性が高いからです。