ヘンジニアとして

ヘンジニアとは、ノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中さんが自称して使っていた言葉です。田中さんは、管理職に昇進しないか、という会社の誘いを断って、「生涯ヘンジニアとして生きます」と宣言していました。私の父は、若くして社長賞を受賞するような天才技術者でしたが、管理職は務まらなかったようで、晩年は左遷されて寂しく生きていました。62歳で、アルコール依存症からくる多臓器不全で若死にしましたが、前半生の栄光と後半生の悲惨のギャップに耐えられず、アルコールに逃げたのだと思います。「隠れアスペルガー」の脳を、父から引き継いだ私が、大学教員を選んだのは、正解でした。死後にも残りそうな学問的仕事も少しは残せたと思うし、残りの人生は、「一ヘンジニア」として、健康第一で生きようと思います。