天理教教祖と神経症

河合(河合隼雄ー熊田注) 山形さんの本では、イエスがどういう病人をいちばんなおしていったか言うことに関して、狂気だとか、精神面の病人の問題をあげておられますね。ほんとうの精神病はなおらんでしょうけれど、いわゆるヒステリーとかいろんな神経症の患者はよくなおるわけです。

山形 そうだと思いますね。

河合 いまの天理教なんかもその方面に大きな力を注いでいるわけですが、その、アスクレピオスの手をつけなかった、ほんとうに心の悩める分野に大きな焦点を当てたというのは、現実的にも有効だったし、ある意味ではなおるものにだけ手をつけたというか(笑)、賢明だったように思うんです(「キリスト教神話の構造《シンポジウム》」山形孝夫『治癒神イエスの誕生』ちくま学芸文庫、2010年(シンポジウム開催1980年)、p259)。


天理教教祖も、修験道の加持祈祷と自らの「道」を差異化するにあたって、「賢明だった」ように思われます。