精神療法におけるプレ・バーバルなコミュニケーション

 すなわち、抱え環境として治療状況をしつらえるさい、基本となるのはプレ・バーバルなコミュニケーションである。そして、その具体的要素のすべてが、前述した、痴呆老人の対話風関わりに、表れている。調和して行き交っている、(熊田註;小鳥のコミュニケーションを連想させる)鳴き声と鳴き声、身振りと身振り、視線と視線、聴き入る姿勢、散発する身体接触、それらに抱えられて活力を増している心身機能がそれである(神田橋條治『精神療法面接のコツ』岩崎学術出版社、1990年、p92)。


*言語論的転回以降の、宗教学を含む人文社会科学が忘れがちなことです。