“格差”のない嵐

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2679986&media_id=169&from=ranking より転載
嵐の“口パク”はなぜ許される? メンバー間の関係性から読み解く


 嵐が12月4日に放送された『2013FNS歌謡祭』(フジテレビ)にて、口パクのパフォーマンスをしたという指摘が広まり、ネット上で話題となっている。また、櫻井翔が若干太ったことを指摘する声も散見される。嵐に対してこのような声が起こるのは特別珍しいことではなく、生歌を披露した際はその歌唱力が疑問視され、「スケルトン衣装」のような変わった衣装を着れば、やはり一定の批判的意見があがる。
 しかしながら、嵐の人気は一向に衰える気配はなく、さまざまな歌番組で起用され、お茶の間の人気者であり続けている。いったいなぜ、嵐はあらゆる批判をものともせず、安定した人気を保ち続けているのか? その理由を、ジャニーズの内部事情に詳しい芸能ライター・ジャニ子氏は次のように分析する。
「嵐はジャニーズのグループには珍しく、メンバー間に“格差”がないんです。ジャニーズのグループは事務所の意向で、人気のメンバーにスポットを当てて、わかりやすく『今はこの子を推している』というのを提示する傾向が強いもの。最近だとKis-My-Ft2にその傾向が顕著ですが、Sexy ZoneHey! Say! JUMPといった若手はもちろん、KAT-TUNやV6でも同様の“推し”はあります。ところが、嵐に関してはデビュー時から一貫して格差がなく、テレビに映るときもメンバーの誰かがないがしろにされるということはありません。それゆえ、ファンは嵐というグループ全体を応援することになり、彼らの安定した人気を支えているのです」
 グループ内の“平等”は、嵐に別のメリットももたらしていると、ジャニ子氏は指摘する。
「メンバー同士には、フラットな関係性がうかがえます。たとえば相葉くんがちょっとふざけたことを言っても、メンバーはちゃんとそれに応え、みんなで笑っていたりします。嵐にはグループを脱退したメンバーがいませんが、それはメンバー同士が対等で、風通しの良い関係性を築けているからかもしれません。また、脱退したメンバーがいないということは、過去の写真や映像を使って『グループの歴史を振り返る』的な企画が作りやすくなり、ファンに与えられる情報量が多くなります。これは大きな強みではないでしょうか」
 実際、嵐の場合はテレビ番組で過去のエピソードが語られたり、書籍や雑誌でヒストリー的な特集が組まれることも多い。この部分は、“脱退メンバー”話がタブーとなりがちな他のグループにない強みといえそうだ。
「嵐の場合は、デビューから現在まで、グループのストーリーをしっかり読むことができます。感動のエピソードもあれば、ユニークなエピソードもたくさんあり、ファンはより深く嵐を好きになれる。そうすると、口パクや多少のルックスの変化といった、表層的な部分の批判で、ファンが彼らに幻滅することなどないのでしょう」
 嵐がファンを魅了し続けている背景には、広く共有されてきたグループの歴史や、メンバー間のフラットなやりとりが、ファンとの絆をより強固にしている面もありそうだ。(松下博夫)


*かつての日本では、「人類は皆兄弟、戸締まり用心」という(考えてみれば)奇妙なテレビCMが放映されていたように、弱肉強食の資本主義的競争原理を生きる「男同士の絆」に「格差」が含まれていることは、当然視されていました。嵐のイメージ戦略には、「草食系男子のフラットな関係性」を若者にアピールしている面もあると思います。
 AKB総選挙に倣って「嵐総選挙」をしようとすれば、ファンに総スカンを食うでしょう。