男と花と料理と

 さて、からだの声を無視する習慣を続けてきたファントムが、からだの声を聞くには、若干のトレーニングが必要になります。最も役立つのは、花を相手に行う五感トレーニングです。花を目で眺め、香を嗅ぎ、頬ずりして感触を確かめながら、頬と花の触れる音を聞き、花の蜜をなめてみるのです。もちろん、こうした五感トレーニングの相手は花でなくても、犬、猫などのペットや、茶器などの物品でもいいのですが、ひとつの対象に五感の多くを併行して動員できる対象が有効です。最も身近な方法は、料理することです(神田橋條治『「現場からの治療論」という物語』岩崎学術出版社、2006年、p.74)。


現代日本では、男性が花に頬ずりすることには、まだ相当な勇気が必要でしょう。それでは、暴走族の男性たちは、自炊はしているのでしょうか?