性暴力被害者 半数が「死にたい」「消えたい」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140227-00000581-san-hlth より転載
性暴力被害者 半数が「死にたい」「消えたい」…10〜20代女性調査


 性暴力を受けた10代、20代の若年女性の2人に1人が「死にたい」「消えたい」という自殺念慮を抱いていた。こんな実態が、繁華街で子供たちの声を聴くNPO法人「BONDプロジェクト」(東京都渋谷区)のアンケートで浮かび上がった。性暴力の被害者20人への聞き取り調査では18人がリストカットなどの自傷行為を経験していた。(寺田理恵)

 ◆おびえる子も


 アンケートと聞き取りは都の補助事業として行われ、対象者は、(1)渋谷区の繁華街にいた女性201人(2)都内や神奈川県内の大学構内で聞いた34人(3)BONDとやりとりのある女性134人−の計369人。このうち、性暴力を受けた経験がある女性は249人と67%に上った。渋谷では62%、大学では74%、BONDでは75%があると答えた。
 今月22日の報告会で公表。出席したNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」の清水康之代表は「渋谷の女性は例外と受け止められかねないが、渋谷と大学で結果に違いがない。誰の身にも起きる社会的リスク」と指摘した。
 性暴力の内容(複数回答)は、痴漢▽無理やり体を触られた▽性行為をされた▽性的な画像や動画を撮られた−など。加害者(同)は「知らない人」に加え、男の友人・知人や恋人、父親、先生といった面識のある相手が多かった。
 画像撮影について、BONDの橘ジュン代表は「インターネット上で起きるので、嫌なら切ればいいと思われがちだが、仲の良いふりをして学校や住所を聞き出され、『殺される』とおびえる女の子もいた」と説明した。
 アンケートから分かったのは、性暴力のダメージが自殺を考えるほど強いことだ。性暴力を受けた女性の半数近い117人が「死にたい」「消えたい」と感じていた。しかし、このうち誰かに相談した女性は62人にとどまり、相談しなかった理由は「信用できない」が最も多かった。


 ◆風俗の勤務中に


 性風俗で働いた経験も尋ねた。BONDへの相談で、「当初聞いていなかった人数の男性がいて暴行を受けた」など、性風俗勤務中に性暴力を受けた事例が多いためだ。性風俗の経験があると回答した女性は103人で、キャバクラと援助交際が多かった。このうち風俗で性暴力を受けたと回答したのは74人。自由記載では「面接を何個受けても受からなかった。今もガールズバーでバイト」(20歳)、「ガールズバーの面接に行ったらピンサロに連れていかれ、働かされた」(22歳)などの記述があった。
 BONDで相談を受けた性暴力被害者20人への聞き取り調査では虐待経験者が14人、自傷行為の経験者が18人いた。性風俗店の勤務経験者10人のうち9人が勤務中に性暴力の被害体験があると回答。橘さんは「性暴力を受け、そこから性風俗援助交際に巻き込まれていく事情も考えてほしい。自傷行為の中に援助交際もある」と問題提起した。
 今回の結果について、性暴力被害ゼロを目指すNPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美代表は「性暴力の多さや影響の大きさなど、『そうだろう』と思われていたことをデータで可視化した」。清水代表は「若年女性の自殺はこれまでプロセスが見えなかった。謎の一端が解けたのではないか」と評価した。

 ■次の行為をされ、「死にたい」「消えたい」と感じたことはありますか?


 (回答者117人、複数回答)
  ・痴漢に遭った                 32
 ・無理やりキスをされた             25
 ・無理やり体を触られた             27
 ・無理やり性行為をされた            30
 ・暴力的な性行為をされた            24
 ・複数の相手に性行為をされた          22
 ・避妊に協力してもらえなかった         24
 ・裸など性的な画像、または動画を撮られた    21
 ・見たくないのにエッチな動画や写真を見せられた  9
 ・無理やりポルノやAVのまねをさせられた    10
 ・親の性行為を見せられた             9
  ※NPO法人BONDプロジェクト「女の子の生と性に関するアンケート」(調査数369人)から