光市母子殺害事件と従軍慰安婦問題

 光市母子殺害事件で被告が殺害した女性を屍姦したのは、おそらく、自殺した実母からの性的虐待によって「傷つけられた」男性性を無意識のうちに回復しようとしたのでしょう。被告は獄中から友人に宛てた手紙で、「俺も男だ!」と強調しています。一方、男性による戦時性暴力は、基本的には、戦場体験がもたらした自己無力感ー傷つけられた男性性ーを心理的に補償するための「征服欲」を動機とするものです。日本のネット右翼が、前者を激しくバッシングする一方で、「従軍慰安婦問題」を否定するのは、「近代的な男らしさの脆さ」という両者に通底している問題を直視したくないからかもしれません。