天理教と夫婦関係

「わが妻は日本一」


 私たち夫婦は朝夕のおつとめ後、向かい合って互いにあいさつをします。私はさらに、次の言葉を添えます。
 朝は「素晴らしい妻さま、きょう一日、よろしくお願いします」。夕は「わが妻は素晴らしい。日本一。ご苦労をいただきました」。
 それぞれを3回ずつ繰り返すこのあいさつを、1年前から続けています。
 きっかけになったのは、『天理時報』の「座右のおふでさき」です。昨年の6月20日号は「せんしょのいんねんゆよせてしうごうする これハまつだいしかとおさまる(一 74)のお歌をよすがとして、大節のなか喜びをみつけて通ったという会長さんの話でした。
 その内容に自らを重ね、私なりに思案したところ、喜ぶことをおろそかにし、妻への感謝が足りていないことに思い至りました。そこで、いんねん寄せて結んでくださった親神様への感謝を込めて、「わが妻は日本一」とはっきり口に出そうと思ったのです。
 当初は、照れくさくてボソボソと小さな声でしか言えませんでしたが、続けるうちに、声が大きくなっていきました。妻は照れながらも、「きょうも、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えてくれます。
 また、このあいさつを続けるうちに、何げないことでも喜べるようになりました。例えば、朝起きて着替えるときに、「かしもの・かりもの。ありがとうございます」と、自然に口にできるようになったのです。
 私たちは、長年夫婦として連れ添うなかで、普段の生活が当たり前になり、自分の思いを言葉で伝えることが少なくなっていました。互いに感謝の念を伝え、心を合わせることを意識するようになってからは、喜びを感じる機会が増え、何事も前向きにとらえられるようになりました。
 ある先生から、「目が覚めて天井を見たときに、生かされている感謝の気持ちで涙が出てきた」と聞きました。この先生のように、親神様のご守護への感謝と喜びをもっともっと深めることが、これからの二人の目標です(広瀬一豊「うちのしきたり」『みちのとも』2011年7月号、天理教道友社、2011年、p62)。


天理教の理想とする「立て合い、助け合う」夫婦関係のあり方がよく現れている文章です。こうした事例を見ると、「中山みき天理教教祖)は家父長的なものに敬意を払っていた」(島薗進)とはとても思えません。