同性愛主義者

 「同性愛主義者」という言葉は、私のジェンダー論の授業を受講していた女子高出身者がレポートで使っていた言葉です。「女子高には同性愛主義者もいて、主義者同士付き合っていた。でも、もし私が主義者に誘われたら、やはり気持ち悪くなったと思う。」女子高の女性同性愛者は、男子高の男性同性愛者や共学高の同性愛者よりもカム・アウトしやすいのかもしれません。
 それはさておき、同性愛主義者とは、面白い表現です。私は、授業ではイヴ・K・セジウィックにならって、「同性愛はだれにでもある傾向である」と教えています。しかし、このような「普遍化戦略」を採用すると、同性愛者というアイデンティティ自体も虚構にすぎないということになりかねません。このような状況下で、「戦略的アイデンティテイ」として同性愛者としてのアイデンティティを採用する人が「同性愛主義者」と名乗ることには、意味があると思います。