融即律と近代社会

ー「すべてを真実とみなさなければならないのではなくて、すべてを必然とみなさなければならない」(カフカ「審判」)
 カフカのいう「すべてを必然とみなさなければならない」世界とは、目的合理性(ウェーバー)ないし道具的合理性(ホルクハイマー)が、「因果律」を肥大化させて、「融即律」(loi de participation;神秘的な同一化のこと、レヴィ=ブリュル)をやせ細らせた世界、「鉄の檻」(ウェーバー)のことでしょう。統合失調症には、「融即失調症」の側面があるのかもしれません。