因果律の世界と妖怪ウォッチ

 これは、因果律によって織られた絨毯を仮定する「硬い現実主義」に対して、少なくとも「やわらかな現実主義」のほうが“現実的”であることを示している。共時性についてその証拠を出せということは、わざわざ「硬い現実主義」に立脚することである。現実が硬い因果律の世界であることを要求する人は、すべてを知れば因果関係がたどれるはずだと考える。しかし、それは神もなしえないことである。現にすべての宗教の神は非決定的である。祈りや奇蹟を持ち出すまでもなかろう(中井久夫共時性などのこと」『隣の病』ちくま学芸文庫、2010年(初出1990年)、p21)。


ー「どうして朝は眠いんだ?妖怪のせいなのね。そうなのね。」


現代日本の「妖怪ウォッチ」のブームには、「因果律の世界」に対する「融即律」(レヴィ=ブリュル)の反撃という側面があると思います。