「同性愛主義者」という言葉

 これは、私のジェンダー/セクシュアリティ論の授業を受講した女子学生が、自分の女子高校生時代を振り返って使っていた表現です。「同級生には同性愛主義者もいて、主義者同士付き合っていた。」そうです。この「同性愛主義者」という言葉は、「同性愛は、多かれ少なかれ誰にでもある傾向である」というクイアな議論が知識人の間に広がり、「セクシュアル・アイデンティティはフィクションである。しかし、必要なフィクションである。」(ジェフリー・ウィークス)となった社会状況にうまく適合した表現だと思います。「同性愛者」であることを自分の「アイデンティティ」にしている人を、「同性愛主義者」とする訳です。