感謝して生きる/ために生きる

 精神科医神谷美恵子さんがどこかで、精神病患者の妄想がたいてい「○○のために」という形をとることを指摘して、「人間はよほど何かのために生きることが好きな動物らしい」と述べていました。しかし、私が思うに「感謝して生きる」ことの方が、「何かのために生きる」ことよりももっと大切です。ずばり「なぜ生きる」という本を某新宗教団体が出版していますが、そうした問いの方が先行すること、感謝することよりも先に「生きる意味」を問わされること自体が、すでに時代の病理だと思います。その辺がわかっていない日本の宗教知識人の典型が、東京工業大学上田紀行さんです。