「こころのケア」という日本語

 災害精神医学はゼロからのスタートでしたけれど、今回の東北の地震にも神戸やそれまでの蓄積が生かされてきているとは思います。東北の震災のときは、神戸、京都からも精神科の医師が何グループか交代でいっています。
 「こころのケア」という言葉はおそらく神谷美恵子さんから皇后陛下に伝わったのでしょう。当初手当てだとかこころのケア、PTSDとかそうした言葉にはみんな反発がありました。それは新聞のほうにもあったかもしれません。何というか言葉に対する反発があるでしょう。ケアという言葉は最初なかなかうけいれられなかったと思います。正式用語としてはめずらしいものです(中井久夫「災害を語る」『戦争と平和 ある観察』人文書院、2015年(初出)、p179)。


*「こころのケア」という言葉の日本社会への浸透に、神谷美恵子美智子皇后の「隠れフェミニスト」ラインが関わっていたことは、知られていていいことだと思います。


美智子皇后フェミニズム
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20090901/p1