解放同盟と釜が崎

昨日の日記で引用した須藤久さんは、任侠派の映画評論家・佐藤忠男の元・弟子で、「ヤクザに肩入れしすぎる」という理由で破門された人です。
ちなみに、彼の著書「任侠道ー叛逆者の倫理」(二十一世紀書院、1989年)には、次のような記述もあります。

 大阪に浪速支部という大きな解放同盟の支部があります。日本で一番大きい部落ですね。そこには解放会館という立派な建物がありまして、老人達は、そこにみんな行って、テレビをみたり、青年部員達にいろいろな接待をうけたりしていんですが、すぐその隣の釜が崎では、毎年冬になると老人たちが凍え死にしている。
 そこで、無くなった私のオヤジの泉海がいったのは、なぜ解放同盟は己れのとこだけしか助けんのかと。すぐ側の釜が崎では何人も凍え死にしているのに、なぜほっとくんやというふうに提起しますと、そうはいってもうちだけでも大変やから、あの連中はあの連中で、組織つくって戦ったらええやんか、とこうなんですよ(同上、p.244)。



「弱者は分割して統治する」という権力者のテクノロジーに対抗していくのも、「民衆」宗教者の仕事かもしれません。