勘・鈍・根

 よく研究者が成功する条件として、「運・鈍・根」が挙げられますが、これは半分しか正しくありません。正しくは、「勘・鈍・根」です。研究者にとって一番大切な資質は、上野千鶴子さんも言うように、「勘がいいこと」です。学問的方法論(ディシプリン)は教えられても、<勘>は教えようがなく、天性のものです。ただし、上野さんの場合は、<勘>はとても鋭いのだけれども、<鈍・根>がなかったので、ご自身で冷徹に認めていらっしゃるように、「残る仕事はひとつもない」研究者です。最近は、「どうせ後世には残れないのなら」という自己認識に開き直って、「同時代と切り結ぶ」ことに専念しておられるように見えます。