聖地と自然治癒力

一四五 いつも住みよい所へ
(前略)
 その(熊田註;病気が快癒した)喜びに、四月六日(陰暦三月十一日)、初めて「おぢば」(熊田註;「」部原文傍点、天理教の聖地)へお詣りした。しかも、その日は、教祖(おやさま)が(熊田註;拘留されていた)奈良監獄署からお帰りの日であったので、奈良までお迎えしてお供して帰り、九日まで滞在させて頂いた。教祖は、
 「正兵衛(しょうべえ)さん、よう訪ねてくれた。いずれはこの屋敷へ来んならんで。」
と、やさしくお言葉を下された。このお言葉に強く感激した正兵衛は、商売も放って置かんばかりにして、「おぢば」と神戸の間を往復して、「においがけ」(熊田註;原文傍点、布教のこと)・「おたすけ」(原文傍点)に奔走した。が、「おぢば」を離れると、どういうものか、身体(からだ)の調子が良くない。それで伺うと、教祖は、
 「いつも住みよい所へ住むが宜(よ)かろう。」
と、お言葉を下された。この時、正兵衛は、どうでもお屋敷へ寄せて頂こうと堅く決心したのである(『稿本・天理教教祖伝逸話篇』天理教道友社、1976年、pp.240-243)。


天理教の「おぢば」のような宗教の聖地には、人間の自然治癒力を活性化させる何らかの働きがあるのでしょう。