代理母出産と障害児

 足でしっかり卵を抱きしめ4年余り。160匹のわが子の誕生を見届けて果てる。米沖で見つけたタコにも母性(『朝日新聞』2014年8月5日夕刊、コラム「素粒子」より)。


 現代日本でも、「産みの母性」神話は根強いようです。先日タイで起きた、オーストラリア人である代理母の依頼主が、ダウン症をもって生まれた「遺伝上の子」の受け取りを拒否し、タイ人の貧しい代理母が、自分で育てることを表明した事件は、世界的に大きな波紋を呼びました。構築主義の立場を取るフェミニズムは、「産みの母性」神話を「社会的につくられたもの」にすぎない、とします。しかしもし、だからといって「産みの母性」神話を否定してしまったら、フェミニズムは一般大衆の生活感覚から浮き上がってしまうでしょう。