羽生選手は日本男児?

http://digital.asahi.com/articles/ASG2H53D3G2HUTFK009.html?iref=comtop_6_04 より転載
安倍首相、羽生選手を電話で祝福「さすが日本男児


 安倍晋三首相は15日、ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子で金メダルを獲得した羽生結弦(はにゅうゆづる)選手に電話し、「たくさんの日本人が羽生選手の演技を見て胸が熱くなる思いだった。氷に一礼するたたずまい、さすが日本男児だ」とたたえた。羽生選手は「ミスもあったが、最高の結果を残すことができた。(自分の)点数が出た後は、金メダルは逃したなと思っていました」と話した。
 羽生選手が仙台市出身であることから、首相は「仙台や被災地の皆さんは喜んでいると思う」とも語りかけた。


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 羽生結弦(はにゅうゆづる)選手と安倍晋三首相の電話での主なやりとりは以下の通り。
 (首相)もしもし、羽生選手、おめでとう。
 (羽生選手)ありがとうございました。
 (首相)たくさんの日本人が、羽生さんの、羽生選手の演技を見て胸が熱くなる思いだったと思います。
 (羽生選手)ありがとうございます。ミスもいくつもあったんですけど、それでもたくさんの方々に応援していただいたおかげでこうやって最高の結果を残すことができました。本当にありがとうございます。
 (首相)私もわくわくしながら、どきどきしながら見ていましたけど。最後まで本当に冷静で諦めずにすごいなと思いましたけど。よくあんなに冷静でいられましたね。
 (羽生選手)そうですね、ただ、点数が出たあとは全然冷静ではなくて、もう本当に金メダルは逃したなと自分のなかでは思っていました。
 (首相)最初の4回転でちょっとミスがありましたけど、最後まで諦めないというあのプレー、あの演技は本当にすごかったと思います。
 (羽生選手)ありがとうございます。
 (首相)また、羽生選手はさっきテレビで見てましたけど、避難所での生活もちょっとしていて、おそらく仙台や被災地の皆さんは喜んでいると思いますね。
 (羽生選手)そうですね。本当にそういうような力になれればと思って、本当に今回も全力で演技をしたので。本当に、力になれればいいなというふうに思っています。
 (首相)やっぱり最後まで強い精神力で頑張れたのは、あんなたくさんの困難、大きな困難を乗り越えてきた。その一つの力だったのかなあと思いますし、たくさんの皆さんの熱い期待を背負っているということもあったと思うんですが、羽生選手は小児ぜんそくもあるというふうに聞きましたけど。いまはもう大丈夫なんですか。
 (羽生選手)家のほうも、震災のあとに全壊判定されて家もけっこう大変で。リンクのほうも使えなくなったりと、結構大変な時期もあったんですけど、荒川さんがトリノで金メダルをとっていただいて、復活していただいたリンクも使えなくなってしまっていて、その後に寄付を日本の国から、または仙台市宮城県からもご支援をすごいいただいたので、なんとかこうやってここにいま最高の結果を残すことができたと思っています。ありがとうございました。
 (首相)報道によると、羽生選手はぜんそくだったときもあるっていうふうに聞いているんですが、もう大丈夫なんですか。
 (羽生選手)ぜんそくは、昨日ちょっと試合のあとにはちょっとぜんそくの発作みたいなものはあったんですけど、でも、それよりも、やっぱりうれしさのほうが強いですね。
 (首相)本当に羽生選手のあのすばらしい演技、そして氷に向かって一礼するというあのたたずまいが、さすが日本男児だなと思いましたけど。どうかこれからも頑張ってもらいたいと思います。期待しています。
 (羽生選手)ありがとうございます。ありがとうございました。


*安倍首相が、「日本男児」という「近代(大正期)の発明」に言及すること自体が、安倍首相のジェンダー保守の人間観をよく表しています。