アンパンマンの孤独―愛と勇気とホモソーシャル―

 この春休みに書く論文のタイトルは、「アンパンマンの孤独―愛と勇気とホモソーシャル―」に決定しました。かつて社会学者の見田宗介氏が、後に見田氏をまねて中沢新一氏が、カルロス・カスタネダを引用して「孤独な鳥の条件」について書いていました。また、哲学者の鶴見俊輔氏は、日本人の「男らしさ」を論じる映画評論家の佐藤忠男氏を評して、「孤独なヤクザ」という言葉を用いました。こうした論者に決定的に欠けていたのは、「ジェンダー」という問題意識だと思います。考えてみれば、男の弟子たちに囲まれていたイエスも、ほんとうは「孤独」だったのでしょう。現代社会で真に「勇気をもって愛する」ためには、「男同士の絆」とは距離を置かなければなりません。