現代中国のアルコール問題とキリスト教
では、なぜ上海でアルコール依存症なのか、彼地で聞いたことがあるが、上海のひと月の流動人口は二百万人とも三百万人とも言われ、連日連夜の突貫工事で得る日銭がその病気を産み出しているようである。かつて、カナダでアメリカ合衆国の援助を受け、道路舗装の突貫工事が行われた。そのとき、雇われて働いたヘアーインディアンたちのなかから、アル中が続出したというが、それとよく似た現象に思われる(真栄城輝明『心理臨床からみた心の不思議ー内観をめぐる話ー』朱鷺書房、2001年、p66)。
*貧しい出稼ぎ労働者たちの抱く「恥」(shame)の感覚が、アルコール依存症を産むのでしょう。先々週の日曜日のNHKスペシャルは現代中国の宗教ブームを特集しました。キリスト教の信者が、経済成長に取り残された貧困層を中心に急成長し、信者数は既に一億人を超えているのではないか、と報道していました。現代中国のキリスト教信者のなかには、(元)アルコール依存症患者も多いだろうな、と推測します。