認知行動療法をめぐる社会問題

 日本のジャーナリズムは、製薬会社の利権の臭いがする「抗うつ薬」の濫用をめぐる社会問題については結構敏感に反応しますが、欧米から「認知行動療法」を導入することは手放しで歓迎している感があります。私は、うつ病や不安障害の患者さんのなかには、認知行動療法が一定の効果をあげる人がいることは、もちろん認めています。しかし、現代日本における人間関係の希薄化を追認している側面があると思うので、認知行動療法の導入を手放しで歓迎する風潮には懐疑的です。