パソコン幽霊の不在

 パソコンに映る幽霊がホラー映画のポピュラーなシチュエーションになったのは一九九〇年代半ばである。しかし、その頃から比べてはるかにインターネットの普及した今日でも、“パソコン幽霊”はかつて予見されたほどのリアリティーをもちうるにはいたっていない。依然として幽霊はパソコンの画面よりも“パソコンのなかの心霊写真”のなかにいることが多い。一つには、CGやアニメーション技術の発達が、現実よりも非現実的なイメージを構築する方向で精度を磨いているためかもしれない。つまり、写真やテレビが現実を再現する装置であるのに対して、パソコンはむしろ現実逃避のための道具として重宝されている節がある。そして、幽霊は現実のなかにしか存在しないのである(小池壮彦「『眉唾写真』の魅力」一柳廣孝(編著)『心霊写真は語る』青弓社、2004年、pp252-253)。


*幽霊は、FacebookのようなSNSにも登場しないようです。