近代人の自由と「規律=訓練」

 家畜は、主人の鞭をのがれ、自分自身を鞭打って主人の立場に立とうとするが、それがただの幻想にすぎないことを知らない。主人の鞭紐にあたらしくつけた結び目から生じた、幻想にすぎないことを(同上、p.160)。


フランツ・カフカのこのアフォリズムは、ミシェル・フーコー(1926-1984)のいう「生権力」や「規律=訓練(ディシプリン)」の概念を先取りしていたと言えるでしょう。