「東京都青少年健全育成条例」の改正案に関する議会答弁

平成二十二年東京都議会会議録第三号〔速報版〕
平成二十二年三月三日(水曜日)一般質問(本会議第三日)
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2010-1/d5110311.html#01
〇十二番(西沢けいた君)(民主党
(略)
 最後に、青少年健全育成条例の改正案について伺います。
 青少年が被害者となる悲惨な児童買春や虐待などの行為を野放しにしていいわけがありません。また、青少年の健全な育成に向け、有害な情報のはんらんも防がなければなりません。
 こうした中で、今回の改正案には、規制の対象となる図書類等について、青少年をみだりに性的対象とする悪質な漫画が追加されており、その定義の中で、非実在青少年という新たな概念が盛り込まれております。年齢または服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示または音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの、これを非実在青少年というようでありますが、青少年を描写した漫画やアニメのことを指すものと思われます。
 過激な表現が描写されているものは当然規制すべきかと思いますが、こうした新たな概念が具体的にどのようなものか明確ではなく、あいまいです。解釈のしようによっては、青少年を描写した漫画やアニメのほとんどが適用されてしまうのではないかという懸念を持つ方もいます。その他含め、出版物が有害かどうかを行政が判断することになることには慎重な意見もあります。国での議論がこれから進めている問題でもありますが、見解を伺います。
 なお、答弁によっては再質問も留保させていただきまして、終わります。(拍手)

〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 青少年に係る漫画等の規制についてでありますが、今回の青少年健全育成条例改正案におきましては、漫画等において明らかに青少年として表現されているものを非実在青少年と定義した上で、その性交または性交類似行為に係る姿態を、正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等について、青少年に対する販売等の自主規制及び不健全図書指定の対象に追加しようとするものであります。
 これは、このような漫画等を青少年が閲覧することにより、青少年の健全な性的判断能力の形成を阻害するおそれがあることによるものであります。したがいまして、単に子どもや、その裸の描写が含まれる漫画やアニメを規制するものではなく、また広く成人に対する流通一般を規制するものでもありません。
 なお、本条例には、昭和三十九年の制定当時から、青少年が閲覧することで、その性的感情を刺激するなど、青少年の健全育成を阻害するおそれがある漫画などの図書類について、青少年の目に触れないようにするための規定が設けられております。
 具体的には、出版関係者による青少年への販売等の自主的な規制を基本としつつ、著しく悪質なものに限り、青少年健全育成審議会に諮問の上、都が不健全図書として個別に指定し、青少年への販売等を制限するものであり、こうした仕組みにより、青少年の健全育成を図ってきたところでございます。
 今回の改正案につきましても、慎重な手続を経て運用されることに何ら変更はございません。

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*最大の問題は、第2段落1行目にある<青少年の健全な性的判断能力>とは何か、ということです。石原慎太郎都知事は、「成人男性が主体の成人同士の異性間性行為」を<健全>だと思っているのではないでしょうか。
 今回の改正案の大きな狙いは、ボーイズ・ラヴ(BL)図書を取り締まることでしょう。BLに関して、石原慎太郎都知事は、1.女性が性的表現の主体となること、2.男性同性愛の形式を借りていること、が嫌なのでしょう。しかし、さすがに女性嫌悪や同性愛嫌悪を表には出せないので、「児童ポルノの取り締まり」という搦め手から攻撃してきたのだと思います。