絵画療法のリスク

 最後になったが、私が、これらの方法を三十年以上使い続けながら論文にしなかったのは、固有の怠惰と並んで特に教育界において濫用されることを恐れてのことである。家族にやってみることもすすめられない。医学の用具で危ないのはメスだけではない(中井久夫「絵画療法の実際」『「伝える」ことと「伝わる」こと』ちくま学芸文庫、2012年(初出1982年、文庫版に際して追記)、p190)。


*「理解はついに信に及ばない」(中井久夫