ボーダーからミニマルな親密性へ

 尾崎豊の音楽が、かつてほどには若者に受けなくなったそうです。尾崎豊が体現していたような、先進国病である境界性パーソナリティ障害(BPD、以下「ボーダー」)の問題が、若者の間でもはや当たり前のことになってしまい(アメリカにおける最近の調査では、人口の5・9%)、もはや、芸術が取り上げるような「前衛」ではなくなってきたからでしょう。逆に、芸術が取り上げる「前衛」として浮上してきたのが、「ボーダー同士の関係性」を描いた「ミニマルな親密性」の問題だと、私は2005年の時点で指摘していました。先日、「私を殺してほしい」と頼む女子高校生を友人の男子高校生が殺して嘱託殺人罪に問われるという事件が起きました。「ミニマルな親密性」も、もはや芸術が取り上げるような「前衛」から、「若者のリアル」に変化しつつあるのでしょう。


スカイ・クロラーミニマルな親密性
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20080918/p1