旧日本軍兵士の「団結」

 ある時、摩文仁海岸の岩陰で一人の海軍将校が、水色の軍服に白い巻脚絆を佩いて岩の上に正座し、東方に向かって深々と頭を下げると、あっという間もなく手榴弾で自決するのを見た。その瞬間、付近の岩陰から何人かの敗残兵が飛び出し、先になった者が死者の傍にあった肩かけの袋に足を掛け拳銃を構えて周りを見回した。すると、別の兵隊が手榴弾を投げ付けて彼を殺害して食糧を奪い取るのを目のあたりに見せつけられた(大田昌秀『沖縄の決断』朝日新聞社、2000年)。


*旧日本軍兵士の「団結」は、あくまで「天皇への忠義」に集約されるタテ関係に支えられたものであって、それがなくなれば「烏合の衆」になったことがよくわかります。