つながりの中での癒やしー援助希求行動の大切さー

 しかし、私なりにさまざまな患者さんの治療にたずさわってきたなかで、ひとつ確信していることがあります。それは、「人生において最も悲惨なのは、ひどい目に遭うことではなくて、一人で苦しむことだ」というものです。一人で苦しんでいると、思考は閉鎖回路のなかを無意味に堂々めぐりし、いつしか、社会には悪意が満ちていて、世界全体が自分の敵のように感じられてきます。これでは、生きづらさを解決するよい答えがあっても、それに気づくことができません(松本俊彦『自分を傷つけずにはいられないー自傷から回復するためのヒントー』講談社、2015年、p247)。


自傷に限らず、人間関係が希薄化した現代日本における心の問題に広くあてはまりそうです。