親子関係と「ほだし(絆・馽)」

 馽という字が示すように「ほだし」とは馬の前足を縛って動けないようにすることから転じて、相手を拘束し、支配することを意味することを意味する言葉である。
 不登校をはじめ、子供の問題に関わっていると、親子関係、とりわけ母親との間に発生するテーマは「ほだし」が圧倒して多い。
 これまでの筆者の臨床を振り返るだけでも、その例は枚挙にいとまがない。「ほだし」とは、相手を拘束し自分の思いどおりに支配しようとするとき、問題となるテーマである。当の本人にはその自覚がなく、むしろ親として必要な、あるいは当然の愛情だと思っていることが少なくない(真栄城輝明『心理臨床からみた心のふしぎー内観をめぐる話ー』朱鷺書房、2001年、pp121-122)。


*カウンセラーの信田さよ子さんも「共依存」という日本語はあまり適切ではない、と指摘なさっていますが、だからといって「愛情という名の支配」では長すぎるきらいがあります。「ほだし(馽)」というコピーを広めればいいのではないでしょうか?