「性的少数者の人権守る」淀川区が宣言

http://digital.asahi.com/articles/OSK201310050019.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201310050019 より転載
性的少数者の人権守る」淀川区が宣言 米総領事も協力


【花房吾早子】「LGBT(性的少数者)支援宣言」。大阪市淀川区が9月に発した宣言が、インターネットで反響を呼んでいる。同性愛を公表している米国総領事とタッグを組んだ、異例の「日米共同事業」でもある。
 宣言は9月1日、区民だよりに掲載された。区のホームページ、ツイッターフェイスブックにも載せたところ、一気に広まった。
 「何気ない一言のせいで傷つき苦しんでいる人がいることを皆に知ってもらいたい」(東京、両性愛の女子学生=19)。「(LGBTが)生活しやすい社会の構築に私も頑張っていきたい」(東京、元女性の性転換者)。宣言後、区役所にこんなメールが相次いで寄せられた。
 LGBTではない人も、ツイッターで「LGBTの人たちも住みやすい街なら、シングルマザーも住みやすそう」とつぶやいた。
 きっかけは3月。民間出身の榊正文区長(46)と、在大阪・神戸米国総領事のパトリック・J・リネハンさん(60=男性)の出会いだった。LGBT支援の講演を続けるリネハンさんは、オバマ大統領がLGBTの権利を守ると演説したこと、日本ではLGBTを苦に自殺する若者がいること、などを教えてくれた。
 榊区長は6月、東京ディズニーリゾートでの同性結婚式が話題になった元宝塚歌劇団員の東小雪さん(28)らを招いて講演会を開催。その後、LGBTの人たちに直接意見を聞き、同性婚だと賃貸住宅への入居をなかなか認めてもらえない▽パートナーの手術の同意書にサインできない、などの現状を知ったという。
 まずは、問題の存在を知ってもらおう――。区長はそう考え、宣言に踏み切った。職員研修、職員向けの相談窓口設置を進め、市民からの寄付を区政に役立てる「ふるさと寄付金」の使途の一つを、「LGBT支援活動」とした。
 2日、区役所に性の多様性のシンボルの虹色の旗を掲げる除幕式があり、都島、阿倍野両区長が参加。米政府機関閉鎖のあおりで予定していた出席が中止されたリネハンさんは「アメリカは皆さんの味方」などとメッセージを寄せた。
 榊区長は「多様な人を受け入れる街という印象が広まれば、淀川区で暮らしたい、働きたいという人が増える」と話す。
 LGBT問題に取り組む「虹色ダイバーシティ」(淀川区)の村木真紀代表(38)は「相談窓口の対象が『すべての人』とされていても、LGBTは『自分も含まれるのか』とためらう。自治体が呼びかけることで、安心して声を上げられる」と評価している。


     ◇


 〈LGBT〉 レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B、両性愛者)、トランスジェンダー(T、心と体の性の不一致)の頭文字。国内で20人に1人はいるとの調査がある。米国では、昨年の米企業番付「フォーチュン500」入り企業の97%(484社)が、差別禁止規定をもつという。
 国内では、東京都世田谷区や神奈川県横須賀市が相談窓口一覧をホームページに掲載し、職員の研修もしている。大阪市は人権行政基本方針で性の多様性について触れ、職員向け「情報発信の手引き」で配慮を求めている。