認知行動療法の効果についての議論

Wikipedia認知行動療法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%99%82%E6%B3%95 2013年9月22日アクセス
効果に関する議論


認知行動療法(CBT)に関する概念や効果研究の方法について、諸問題が提起されています。
1. CBTの基礎概念では、マイナス思考がうつ病の原因であるとされています。しかし、医学・精神医学の中では、症状が病気の原因になっているのはこれが 唯一の例です。また、「私はどうでもいい人間」や「私はだめな人間」のようなマイナス思考が、うつ病の根底にある憂うつ気分の二次的な反応という解釈もできます。希望や支えを与えると患者は楽になりますが、うつ病そのものは治療されません。また、うつ病臨床試験の場合、プラセボ(薬理効果をもたらす成分が入っていない偽薬)の投与群でも、うつ症状がある程度改善することがよく知られていま す。そのため、効果的な薬剤を服用している希望や期待によってマイナス思考が改善したと思われ、CBT効果と同じ現象ではないかと示唆されます。


2. CBTの効果研究の方法が、ダブルブラインド(二重盲検)でないことが問題とされています。患者と治療者の両方が治療内容がCBTであることを明確に認識 している場合(ダブルブラインドでない)、それによってバイアス(希望による期待)が生じる。そのため、明らかにCBTでない対象群より、よくなりたい患者の症状の方がある程度和らげられ、結果として「CBTがより効果的だ」という誤った結論になってしまいます。また、研究の評価者は治療内容を認識していないが、患者と治療者の両者が認識しているシングルブラインド(単盲検)の効果研究方法は妥当性に欠けてしまいます。2010年に行った過去の 研究をまとめた調査によると、治療内容を認識している研究とある程度しか認識していない研究を比較すると、患者や治療者が治療内容を認識すればするほど、 CBTが優位な結果となりました。これは、バイアスが原因ではないかと強く示唆されています。逆に、患者や治療者が治療内容を認識しなければしないほど、うつ病に対する効果がほとんどなくなります。

3. 軽症うつ病の患者が重症患者より多く、病気なのか、または性格やストレスによるうつ気分なのかが区別しにくくなります。軽症うつの患者は希望や期待に作用されやすく、上記のように症状がある程度容易に和らげられます。また、このような患者は重症のうつ病がはっきりしている患者と比べて効果研究に参加しやすく、客観的な結果が得られにくくなります。

結論: 1. CBTによって心理的な機能(主にマイナス思考による不快感)がある程度まで改善できる。
2. CBTはうつ病やその他精神科疾患の治療として、その効果が医学的に証明されていない。その上、CBT効果研究のダブルブラインド(二重盲検性)を調査した研究によると、うつ病に対するCBTの効果は極めて低い。
3. CBTは、中途度より重いうつ病に対しては単独治療にすべきでない。
4.主に二重盲検効果研究の実施は不可能なため、CBTの効果研究は「根拠に基づいた医療」(Evidence-Based Medicine)とはいえず、これまでのデーターは、「統制されていない研究結果」にすぎない。


*話を心理学的な効果に限定しても、既にこれだけの疑問が提出されているということです。