きゃりーぱみゅぱみゅは非リア充志向の象徴か?

湯山 非リア充志向は本当に強力だと思います。驚くべきはこのモードが世界の若者たちにユーチューブなどのイメージを通じて、ガンガン広まっていること。きゃりーぱみゅぱみゅという、アイドルが世界的に人気なのも、その一例ですよ。ポニーテールやツインテールのお人形みたいなメークとコスチュームの女の子なんですが、パフュームの楽曲も手がける中田ヤスタカ氏のプロデュースで、ボイスレコーダーのような歌声に、バービーっぽいプラスティックな踊りで、人気になっている。特にユーチューブで大ヒットになり、世界の各地できゃりーぱみゅぱみゅが流行っています。フランスの2012年のiTunes storeエレクトロニックチャートで1位ですから(上野千鶴子湯山玲子「ザ・妄想カルチャーは日本人の十八番?」『快楽上等!ー3・11以降を生きるー』幻冬舎、2012年、pp.133-134)。


*私はきゃりーぱみゅぱみゅを好きですが、リア充だと思います。きゃりーのフリーキーなまでに“kawaii”を追求するファッションは、女性(「女の子」)を「聖母か娼婦か」(田中美津)に分断しようとするおやじ(年配男性)の視線を跳ね返すための「武装」だと思います。何の実証的根拠もなく、きゃりーぱみゅぱみゅは「非リア充志向の象徴」であると決めつけるのは、若者に対する一種のオリエンタリズムであり、「野暮」なことだと思います。


武装としてのファッション」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20120925/p2


―「見ることには愛があるが、見られることには憎悪がある」(安部公房箱男』)