低い自殺率、宗教のおかげ?
http://digital.asahi.com/articles/OSK201212250252.html より転載
低い自殺率、宗教のおかげ? 全国最低の奈良県が調査
【栗田優美】奈良県は25日、自殺率が全国で最も低い理由を検証した調査結果を公表した。宗教者の日常的な活動が自殺予防の一助になっているとみている。
内閣府がまとめた資料によると、2011年の10万人あたりの自殺者数を示す自殺率は奈良県は17.4人(全国平均24.1人)と全国で最も低かった。そこで奈良県は、近畿で最も高い24.5人の和歌山県と共同で20歳以上の男女を対象に意識調査をし、2783人から回答を得た。
「これまでに自殺を考えたことがある」と答えた奈良県の305人のうち、5.6%にあたる17人が自殺を思いとどまった要因として「宗教に助けられた」を挙げた。一方、同じ要因は、和歌山県では「過去1年間に自殺を考えた」と回答した133人のうち2人(1.5%)だった。
文化庁の10年の統計によると、奈良県の宗教者(僧侶・神職・牧師ら)は約2万8千人で、10万人あたり1964人は全国最多。県が県内の寺社や教会約2千カ所に尋ねたところ、約6割が様々な困りごとを聴く相談窓口を置いていた。
調査した奈良県自殺対策連絡協議会の座長で帝塚山大の神沢創(つくる)教授(臨床心理学)は「『奈良の自殺は大仏さんが止めている』と言われるように、身近な宗教的環境が(セーフティーネットとして)機能しているのではないか」とみる。