家族間殺人は大企業のせい?

FNNニュースより転載「亀井大臣『家族間殺人は大企業のせい』 亀井氏『取り消すつもりはない』」
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00164291.html


「大企業のせいで家族間の殺人が増えた」とした亀井郵政・金融担当大臣の爆弾発言。発言を取り消すつもりは全然ないと持論を展開する本人をよそに、発言の余波が広がっている。
亀井大臣は閣議前、鳩山首相に「ご苦労さまでした。オリンピック残念でした」とねぎらいの言葉をかけるなど、上機嫌な様子だった。
その勢いそのままに、閣議後の会見に臨み、「取り消す気は全然ありません。わたしは御手洗さんにもそう言った。経団連の副会長にもね」と切り込んだ。
亀井大臣が「取り消す気はない」と語ったのは、経団連会長との会談で飛び出したあるやり取りだった。
亀井大臣は5日、「『御手洗さん、あなた方もっと大変な罪を犯してるのわかりますか』と言ったら、(御手洗会長が)『なんでしょうか』とおっしゃいました。去年から日本は殺人事件の半分以上は親子、兄弟ね、夫婦の殺し合いになっちゃったんですね。(御手洗会長が)『それはわたしどもの責任ですか?』って言うから、責任だっつーの」と述べた。
亀井大臣は5日の講演で、経団連・御手洗会長との会談のエピソードを披露した。
そこで亀井大臣は「家族間殺人は経団連の責任」と発言し、経団連を強烈に批判した。
まるで犯罪の原因かのごとき言い方をされた経団連・御手洗会長は「(わたしたちは)日本的経営を捨てたつもりはございません。ちょっとわたしもね、そういう話はあったんだろうと思うけど、あんまりよく覚えてないんでね」と述べた。
亀井発言の波紋は、一気に政財界へと広がった。
経済同友会の桜井正光代表幹事は「理解してませんのでね、聞いてませんのでね、なんともコメントのしようがありませんね」と述べた。
鳩山首相は「亀井さんらしいといえばそうかもしれませんが、言葉に過ぎた部分が、あるいはあるのかもしれません。ある意味で、聞きやすい言葉に変えていただく方がよろしいのかもしれません」と述べた。
「家族間殺人は経団連の責任」とする亀井発言について、街の人からは「企業だけの問題じゃないとはちょっと思うので、ちょっと言ってることがわからないかなっていう」、「それも一因だと思いますよ。全部が全部とは限らないと思うんですよね」、「乱暴だけども、的は外してないなという気はしますけど」などといった意見が聞かれた。
亀井大臣は「一般的に、他人を自分のための道具だと考えている風潮。これは残念ながら、大企業の経営がそういう方向にいって」と述べた。
5日の講演で亀井大臣がやり玉に挙げたのは、経団連だけでなく、名指しで批判された人物もいた。
亀井大臣は「お互いを助け合いながら、やっていくということをもう小泉時代には捨ててしまっちゃった」と述べた。
モラトリアム、そして郵政問題などの過熱する亀井大臣の発言。
この一連の市場原理主義の批判は、小泉構造改革への反発が背景にある。
果たして亀井大臣の言うように、家族間殺人と経済との因果関係はあるのか。
法務省のまとめによる家族間殺人の推移を見ると、増加の傾向にあり、2008年は殺人事件全体の半数近くまでにのぼった。
これと株価の推移を比べてみると、景気の悪化と家族間殺人の関連性はあまりないように見える。
法政大学の尾木直樹教授は「広く言えば当たってますよね。だけれども、それだけが原因だよっていうのは、ちょっと違うかなと思いますけどね。企業だけの責任にしてるんじゃなくて、そこを見抜けなかった、そして政治的にリードしなきゃいけないわけですよね」と語った。
物議を醸しそうな亀井発言。今後の大臣の動向に注目が集まる。
(10/07 01:54)


*いかにも乱暴な発言ですが、問題提起としての意味はあると思います。この発言をきっかけに、「市場原理主義は人々の心を脆くする」(R・ベラーらの言う「宗教倫理のセラピー化」が生じる)というところまで、議論が深まればいいと思います。