憂国忌に思う

 今日は、三島由紀夫切腹自殺した日です。私は、三島事件は一種の「言論自爆テロ」だったと思っています。しかし、40年近くたっても、三島が掲げた言論の検証は、依然として日本社会における暗黙のタブーになっています。「生命尊重以上の価値なくして何のための軍隊か?」という三島の問題提起に対して、上野千鶴子さんように「生命尊重以上の価値はない」と応じても、三島には痛くもかゆくもないでしょう。言論自爆テロと言えば、今年の田母神元航空幕僚長の「先の戦争は、侵略戦争ではなかった」という論文を公表したことは、一種の「言論クーデター」でしょう。しかし、事実上の空軍元トップによる今回の言論クーデターは、いかにもせこい。「航空幕僚長として発言しなければインパクトはない」「しかし、懲戒免職になって退職金を失うことは避けたい」という思惑から、「退職直前」というタイミングで論文を発表している。文民統制という国家の大原則に背いた高級軍人をクビにできなかった政治家たちもだらしないが、「生活が苦しいので、退職金は返上しない」という田母神元航空幕僚長もせこい。この人、金を積まれたら国家の軍事機密を売り渡すのではないか、と危惧したのは、私だけでしょうか?