女性学会シンポジウムの感想

*「日本女性学会ニュースレター」(予定)より転載


2010年度日本女性学会大会シンポジウムを聞いて 
熊田一雄(愛知学院大学文学部教員)

 私は大学で宗教学を教えている「男性」教員である。私は、フェミニズム/女性学は当事者運動/当事者研究であると考えており、その意味でこの文章は、運動/研究のシンパではあるが「部外者」であるという立場からの感想である。大会シンポジウムは、「社会を動かす女性学」というタイトルで開催された。「女性学誕生の志にたちもどり、社会を動かすという視点から、女性学のこれまでをあらためて問い直したい。」(木村凉子さん)という狙いであった。フェミニズムに対するバックラッシュが目立つ昨今の日本の社会情勢に照らし合わせて、タイムリーな好企画であったと思う。総合討論では、フロアから「公立女性会館の提供しているサービスと現実の女性たちのニーズに乖離が生じており、金融危機のなかで、このままでは女性会館が『事業仕分け』の対象になるのではないか?」という問題提起がなされた。この冷徹な大局観は、間違っていないと思う。私は、学生に日本のフェミニズムについて1冊だけ本を読むのなら、例えば上野千鶴子さんの理論書ではなく、田中美津さんの『いのちの女たちへ』を読むように推薦している。日本のフェミニズムも、ウーマン・リブの初心を忘れるべきではないだろう。シンポジウムを開催することは、個人研究発表をすることよりもはるかに労多くして、困難なことである。シンポジウムを開催してくださった、関係者の方々の労に感謝したい。

メンズブラの世界

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1278475&media_id=59&m=1&ref=news%3Aright%3Apickup より転載
人気の色はピンク? 黒? メンズブラ”の世界を徹底取材


 “メンズブラ”とは男性が身につけるブラジャーのこと。昨年あたりから、多くのメディアでも取り上げられ話題となった。ただ、まだ「男がブラをつけるなんて、まさか…」と半信半疑の方も多いはず。そこで、ナゾ多き世界を知るために、最初に“メンズブラ”を開発、販売した株式会社ウィッシュ(本社=東京都練馬区)を取材した。
 「落ち着いて、ストレス解消になるようです。安らぐ、引き締めるなど、身につける理由は人それぞれですね」と語るのは同社代表取締役の土屋将之氏。また、「女性の下着はレース、プリント、Tバッグなど種類も多く面白い。ただ、男性の下着って面白味に欠けますよね。もっとオシャレにと踏み込んだ方もいるようです」とのこと。そんなオシャレな需要を満たすべく、「男性用キャミソール」や「男性用ブリファ」も販売しているという。
 同社がメンズブラの販売を開始したのは2008年11月。もともとは女性用下着や男性のブリーフを販売していたが、男性客から定期的に「男性でもつけることができるブラジャーを作って欲しい」との要望が届いていた。「まさか、そこまで売れるとは思っていたなかったので、100枚でも作ってくれる工場を探していました。それが見つかったので販売となったのですが、昨年などは月に1000枚以上を売り上げました。予想以上の反響でしたね」(土屋氏)。では、どんな男性が購入しているのか?
 「実際に統計を取ったことがないので、詳細はわからないのですが、電話で問い合わせてくる方などは70代と思われる方もいます。“妻も公認です”と話される方もいますね。中高年の方が多いという印象です」(土屋氏)。
 ただ、男性用のものを実際に見たことがある方は決して多くはないはず。女性用との違いはあるのだろうか。「女性は“よせてあげて”という部分が大事ですが、男性用は特に“よせてあげて”ということは必要ない。ただ、ワイヤーはこだわりました。動きやすさを出すとともに締め付け感も意識しましたね」(土屋氏)。ちなみにカップはAのみだが、アンダーは数パターンのサイズが用意されているとのこと。現在は10〜20の型に数種類の色があるという。最初は男らしい黒が売れると想定していたが、意外とピンクが人気だった。ただ、その後メディアなどで黒が多く取り上げられたので、今は黒も人気だという。
 また、今まで存在していなかった“メンズブラ”という商品、開発段階では土屋氏自らが、1日身につけてテストしていたという。それもそのはず、同社は土屋氏以外はみな女性社員なのだ。「身につけていることは他の社員にも家族にも知られたくありませんでした。休日に一人で出社してそこでテストしていましたね。メンズブラの愛用者は“自分がつけているぞ!”っていうある意味で露出狂的なものとは違います。だから、誰にも知られたくないんです」。ちなみに、テストしていた時は、確かに引き締まって仕事がはかどり、身を持ってその効果を実感したという。
 ウィッシュは今年の9月に池袋で、メンズブラも扱う下着の店舗を持つことが決定している。「まだ、信じられない…」と考えている方は一度、店舗まで足を運び、メンズブラの魅力を手にとって確認してみてはいかがだろうか。意外にクセになるかも!?

渡辺みえこさんの村上春樹論

 渡辺みえこさんの『語り得ぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象』(お茶の水書房、2009年)を読了しました。面白い本ですが、期待が大きかっただけに、個人的には「いまいち」という感想です。この人、以前の『女のいない死の楽園 供犠の身体 三島由紀夫』(現代書館、1997年)もそうでしたが、センスがよくて着眼はとても鋭いのだけれども、学問的な論証がいかにも粗い。学者よりも評論家に向いている才能だと思います。