渡辺みえこさんの村上春樹論

 渡辺みえこさんの『語り得ぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象』(お茶の水書房、2009年)を読了しました。面白い本ですが、期待が大きかっただけに、個人的には「いまいち」という感想です。この人、以前の『女のいない死の楽園 供犠の身体 三島由紀夫』(現代書館、1997年)もそうでしたが、センスがよくて着眼はとても鋭いのだけれども、学問的な論証がいかにも粗い。学者よりも評論家に向いている才能だと思います。