精神疾患分類について

患者のアイデンティティ(自己規定)が「何々病」「何々症」という精神科の病名や症状名になるのは悲劇的である。患者自身の自己評価に加わることが悲劇的なのである。「私は何々症です」には「きみは何々症そのものかね」「はぁ」「何々症が服を着て歩いているのかね」と応対したい。精神科医は、症状を無視するのではないが、面接の焦点は人柄に置きつづける努力が重要だろう(中井久夫「虹の色と精神疾患分類のこと」『臨床瑣談』みすず書房、2008年、p17)。