大震災と祭り

http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260142.html?ref=rss より転載
伝統芸能や信仰、被災地支える 「絆を確かめたい」


 東北地方の伝統や信仰が被災者たちの心の支えになっている。
 「ジョイワナ、ジョイワナ」。黒光りする虎の面が激しく舞い、黄色と黒のしま模様の布が左右にはためく。
 岩手県陸前高田市の大石地区。周囲に倒壊した家屋や逆さになった消防車が無造作に散らばる公民館の前で23日、伝統行事「虎舞(とらま)い」が披露された。本来は、家々を訪ね、暴れ回って邪気を払う小正月の風習だ。虎を操った左官業の斉藤実さん(61)は言う。
 「避難所にいても気分が落ち込むだけだもの。おらほの守り神をがれきの下で眠らせるわけにはいかないっぺよ」
 160戸あった大石地区は震災で40戸ほどに減り、住民350人のうち80人が行方不明になった。虎舞い用の面や衣装が保管されていた公民館も水没した。七夕祭りで使う高さ8メートルの山車も骨組みが傾き、竹飾りがひしゃげた。
 震災から3日後、大工の金野光晃さん(66)は公民館や山車の修繕に取りかかった。
 「ここ10年で祭りがまたやれるとは思ってねえ。でも、ちょっこりちょっこりやってれば、孫やひ孫の代では復活するべ。そのときのために残しておくっぺよ」
 今では10〜70代までの男女10人ほどが手伝い、金づちやノコギリの音を響かせている。多くは家族を失い、家を流され、避難所で暮らしている人たちだ。家族4人を失った星野功子さん(75)は「いろんなものが流されたけど、地域の絆は残っていることを確かめたいのよ」。


デュルケームのいう「宗教の統合機能」を思わせる話です。こうした話を聞くと、仮設住宅の設置や地域復興の過程で、「地域の絆」を維持するように考慮しなければならないと思います。