抗うつ薬・心理療法・宗教

 2月7日のNHKクローズアップ現代』では、番組の冒頭でうつ病の罹患者数は100万人を超えているとアナウンスされました。せっかく認知行動療法を保険に点数化したのに、医療機関の2%くらいしか使っているところがないそうです。認知行動療法が儲からないというのと、こなせる医師がいないことが原因だと報道されていました。
 かかりつけの精神科医心療内科医(東大卒)に聞いたところ、1.認知行動療法に保険の点数がつくのはうつ病だけで、不安障害(パニック障害社会不安障害(対人恐怖症)・強迫性障害など)の治療では、認知行動療法を行っても保険の点数はつかない、2.保険の点数が低すぎて、「2人がかり・1回30分・16回完結」の認知行動療法を正式に行っていたら、クリニックは倒産するだろう、3.認知行動療法の内容はある意味では常識的なことなので、患者自身が本を購入して自習すれば十分ではないか、ということでした。森田療法に至っては、日本精神神経学会の主流派からは「相手にもされていない」そうです。
 確かに、森田療法は科学というよりは宗教に近いと思います。しかし根本的な問題は、現代の日本社会では「ある意味では常識的な」宗教的知識(「生活の知恵」)がきちんと伝達されていないことにあるのではないでしょうか?